ロスレス・ハイレゾ音楽ストリーミングとは(Apple Music・Amazon Music)
自宅にいる時間が増えて、音楽を聴く機会が増えた人も多いのではないかと思います。
パケット通信量を気にしなくていい自宅なら、ちょっと贅沢をしてハイレゾ音源のストリーミングでいい音を聴きたくなりませんか?
日本でハイレゾのサブスクを利用するなら Apple Music と Amazon Music HD があります。
ロスレス・ハイレゾ音源について(ビット深度・サンプリング周波数・ビットレート)
Amazon Music からイメージ画像を拝借。
ハイレゾ音源というのは、「CDよりも高音質な音源」と説明されます。
CDの音質というのは、16bit/44.1khz の音です。
Apple Musicでは、24bit/48KHzまでを「ロスレス」、それを超えるものを「ハイレゾ」と呼んでいますが、一般的な定義では24bit/48KHzもハイレゾと言えます。
まず、何bitというのはビット深度といって、音の深さを表しています。簡単にいうと、大きな音と小さな音の差(ダイナミックレンジ)だと思ってください。
ビット深度が深くなる(数字が大きくなる)ほど、残響が消える間際など繊細な音の表現力などが上がるので「音質が良くなった」と感じるようになります。
16bitのダイナミンクレンジは96dbですが、人間の可聴範囲は120dbとされています。24bitだと144dbになりますので、可聴範囲を上回ります。
もうひとつの何khzというのはサンプリング周波数といって、1秒を何分割するかという意味になります。44.1khzだと、1秒を44,100回に分割するという意味です。
サンプリング周波数の分割数が多くなるほど音が滑らかになるので、「音質が良くなった」と感じようになります。
人間の可聴範囲は20khzとされていますので、20khzのアナログな音をデジタルデータで再現するためには2倍の40khzのデータが必要になります(標本化定理)。CDの44.1khzは、可聴範囲をカバーしているんですね。
というわけで、音楽として聴く音源データを判断するときに、個人的には16bitなのか24bitなのかには拘りますが、48khzか96khzかは気にしません。
PCM音源の場合は
ビット深度(bit)xサンプリング周波数(Hz)=ビットレート(bps)
で音質が表現されます。
CDの音質は、
44,100Hz x 16bit x 2ch (ステレオ) = 1,411,200bps → 1,411kbps
となります。
音質(bps)を上げるためにはビット深度かサンプリング周波数を大きくする必要があるので、CDよりも高音質にしたハイレゾ音源はファイルサイズが大きくなります。
これに対して、音の中の人の耳には聞こえにくい要素を間引いてファイルサイズを小さくしたのが圧縮音源で、圧縮の仕方の違いでAAC 256kbpsとかMP3 320kbpsといった音質の音源がストリーミングサービスでは主流として使われています。
Apple Music とか Spotify がこれですね。
日本で利用できるハイレゾ音源ストリーミングを紹介します。
ハイレゾ音源ストリーミングサービス
ネットで音源データをダウンロードしながら音楽を聴くストリーミングサービスでは、ファイルサイズは小さい方が良いので普通は圧縮音源が使われます。
それに対して、CDよりも高いビットレートの音源をそのままストリーミングで提供しているのがハイレゾ音源ストリーミングサービスです。
近頃は通信環境が整備されていて、ハイレゾ音源くらいならストリーミングで流しても大丈夫じゃね?って感じでしょうか。
日本では Apple Music と Amazon Music HD があります。(厳密にはもう一つあるんですけど、日本向きのサービス内容ではないので無視)
Apple Music(無料体験期間あり)で提供されている楽曲数は7,500万曲以上ですが、その大多数がロスレス以上の音質で提供されています。もはや圧縮音源のみの楽曲を探す方が難しいので、ほぼ全てがCD音質以上で聴けます。
Amazon Music Unlimited (無料体験期間あり)では、7,500万曲がCD音質で提供されていて、数百万曲がハイレゾ音源で提供されていると公表されています。CD音質の音源にはHD、ハイレゾ音源にはUltra HDというマークがつきます。
音楽配信サービスで提供されているであろうほぼ全ての曲がCD音質以上ってすごくないですか?
気になるハイレゾ音源の音質ってどんなものなんでしょう。
ハイレゾとCDの音質を比較
それじゃ、ハイレゾの音質がどんなものか聞いてみましょう。
LiSA/Uru の再会を探してみましょう。Apple Music のアプリを開いて、LiSA/Uru を検索します。
Apple Musicの場合
設定アプリ > ミュージック > オーディオの品質
で「ロスレスオーディオ」のオン/オフを切り替えることができます。オフにした場合、AAC 256Kbitの圧縮音源になります。
実はこの曲、ハイレゾかそうじゃないかがわかりやすいポイントがあちこちにあるので、比較には最適です。
どういう所に違いが出やすいか特に意識しないで両方の音源で聴いてみてください。
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どうでしょう?ハイレゾは確かに心地よい音ですけど、AACの圧縮音源でも十分いい音だと思いませんか?特にDigital Mastar の音源はとてもハイレゾっぽいです。
大雑把なイメージとしては、同じインチ数のテレビに例えると
- 高品質な圧縮音源 = ハイビジョン(2K)
- CD音質の音源 = 4K テレビ
- ハイレゾ音源 = 8K テレビ
という感じです。
たぶん、40インチ前後の画面サイズだと、2Kと4Kでは「全然違う!すげぇ高画質!!」って感じると思うんですけど、4Kと8Kを比べてもそんなに大きな違いがある?って印象になると思うんですよ。
いや、確かに8Kは綺麗なんだけど、全然違う!って騒ぐほどではないな、と。
でもこれが、80インチとか巨大な画面になると4Kと8Kは全然違うんですよね。
ハイレゾ音源もそんな感じ。難聴になることが確実レベルの大音量で聴き比べたら違いがわかるんですけど、普通に音楽を楽しむというレベルの音量では大きな違いはない。
どういう所に違いが出やすいかという予備知識があって、重箱の隅をつつくかのようにその違いを探すという聞き方をしたら普通の音量でも解るんですけど、そんな聴き方をしても音楽が楽しくないと思うんですよ。個人的に。
でも違いがあるのは確かで、その微妙な差異にどれくらいの価値を感じるか、なんですよね。
気になる場合は、再会の他にも2種類の音源で提供されている楽曲があるので聴き比べてみてください。
音質にメリットがあるのはわかったけど、ハイレゾ音源ストリーミングの料金はお高いの?
料金を比較
Apple Music や Spotify が個人月額980円なのに対して、ハイレゾ音源ストリーミングサービスはちょっと値段が上がります。
- Apple Music (無料体験期間あり)
- 個人税込980円
- ファミリー税込1,480円
- Amazon Music Unlimited (無料体験期間あり)
- 通常税込1,980円 → 980円(2021年6月に値下げ)
- プライム会員1,780円 → 780円(2021年6月に値下げ)
- 一年契約17,800円 = 月額換算1,483円
金額差は基本的にないのですが、肝心の音質に違いはあるんでしょうか?
Apple Music と Amazon Music HD の音質を比較
Apple Music も Amazon Music HD も、iOSアプリはLightning端子に接続したDACに対してビットパーフェクト(音源データを全く劣化なく完璧に送る)で再生する機能がありますので、音質的には有利な設計になっています。パソコン版ソフトの排他モードと同じです。
同じ条件で同じ曲を聴き比べてみると、どちらも素晴らしい音質でして、きめ細かくて空間的な広がりを感じられます。
なんとなく、気の所為程度の違いで、Apple Music の方が音楽として心地良いという印象を受けます。メリハリをつけてあって、音楽として楽しんでもらおうという味付けがなされているという印象です。
Amazon Music の音は素材的で面白味はない代わりに、使うイヤホン・ヘッドホンによって好みの音質にしたり、イコライザーの設定で好みの音質にして楽しむのに向いてます。
ただ、この印象は使用する機器環境(DACとかヘッドホン)の影響で変化する可能性がありますので、僕の環境で比較してどちらが高音質という判断はできないと思います。
繰り返しになりますが、どちらも素晴らしい音質です。両方とも無料体験期間があるので、実際に聴いてみましょう!
最小限の出費でiPhoneでハイレゾを聴く
音楽好きなアニキたちはもうそれなりの機材を持っていると思いますが、この記事を読んでハイレゾ音楽配信サービスに興味が湧いたみなさんに、最小限の支出で充分にハイレゾの高音質を楽しめるおすすめ品を紹介します。
DACアンプ
これがないと話が始まらない。
- MOTTERU変換アダプター: 2,000円くらい
- オウルテックOWL-CBLTF35LT01: 5,000円ちょっと
- JINGHUA Type-C to 3.5mm アダプター: 1,800円くらい+OTG対応のLightning・USB-C変換アダプターが必要
- iBasso DC05: 8,800円+OTG対応のLightning・USB-C変換アダプターが必要
- Questyle M12: 15,000円ちょっと+OTG対応のLightning・USB-C変換アダプター or 別売ケーブルが必要
イヤホン
音の出口は大切。一昔前はこのレベルのイヤホンは3万円前後の出費が必要でしたので、いい時代になったもんですよ。
- ピヤホンHi-Unit HSE-A2000PN: 3,200円くらい・超オススメ
- 茶楽音人 Co-Donguri Brass: 3千円台半ば
- final E2000: 3千円台半ば
- intime 碧(SORA)-2: 6千円台半ば
ヘッドホン
安物買いの銭失いになるより、最初からこれ。
- SONY ヘッドホン MDR-1AM2: 国内品は3万円弱、並行輸入品は2万円弱
- audio-technica プロフェッショナルモニターヘッドホン ATH-M50x: 17,800円
ここで紹介したDACやイヤホンは、ハイレゾ音源を聴かなくても音質面でメリットがありますので、持っておいて損はないです。
ハイレゾ音源ストリーミングを試してみて、高い金額を払う必要はないやと思ったとしても、Apple Music や Spotify の曲をいい音で楽しめますぜ!
ハイレゾのメリット
- なんといっても高音質
大きな違いではなくても、聴き慣れてから非ハイレゾ環境にするとちょっとした物足りなさを感じるんですよ。特に16bitか24bitかの違いは大きいと感じています。
ハイレゾのデメリット
- ファイルサイズが大きい
- 値段が高い
外出中にパケット通信でハイレゾをストリーミング再生するのは、データ量が完全に無制限のプランを契約していないと現実的ではないですね。
iPhoneのアプリの中に音楽データをあらかじめダウンロードしておいて、通信を行わないで音楽を聴くオフラインモードもあるんですけど、データを保存しておくための容量が大きいです。ある程度大きいストレージを搭載している機種を持っていたとしても、よく聴く曲を厳選してダウンロードする必要があるでしょう。
金額面では、圧縮音源のストリーミングサービスと比べて月額500円〜1,000円高いといっても、2ヶ月に1枚以上のペースでCDを購入している人から見たら安い!って思いますよね。
楽しい音楽ライフを!
さてさて、いかがでしたでしょうか。
これまでハイレゾ音源というものが存在することを知ってはいたけど興味はなかったという人たちに、少し興味を持っていただけたのでしたら嬉しいです。
新型コロナの影響で自粛・在宅勤務が多くなって家にいる時間が増えて、外出する機会が減ったら外食や買い物の出費が減った人も多いのでは。その分を考えたら、ハイレゾ音源のサブスクでちょっと贅沢をしても、大した金額ではないでしょう。
お試し無料期間がありますので、ぜひハイレゾの音質を体験してみてください。
この他にも、iPhoneでハイレゾを楽しむための情報がたくさんあります↓