素晴らしい風景写真をiPhoneで撮るための10のヒント
みなさんは、どこかで出会った素晴らしい景色を残すためにiPhoneで写真を撮影して、何らかの理由で期待通りの写りにならなかったことはありませんか?
ほとんどのiPhone写真家に、素晴らしい景色が必ずしも素晴らしい風景写真とはならなかった経験があるのではないでしょうか。
その一方で、もしみなさんが撮影に充分な時間をかけて最大限に良い風景写真を撮るための行動をすることができれば、平均的な風景風景写真を素晴らしいものに変えることができます。
この記事でみなさんに、iPhoneで目を見張るような風景写真を撮るための、10のシンプルで強力なヒントを紹介します。
手前側に飾り的な被写体を置いて遠くの風景を際立たせる
手前側に人目を引く飾りとなるような被写体を置くことは、恐らくあなたのiPhoneによる風景写真を改善する最も簡単な方法です。でも、これはほとんどの人の直感に反しています。なぜ遠くにある素晴らしい景色の写真を撮りたいのに、手前の被写体に目を向けさせてしまうのでしょうか?
例として上の写真をご覧いただくと、実際のところ手前にある木よりも、遠くの山々の雄大さが際立ってより強く印象に残ります。
しかし、木を含めずに山だけを撮影すると、とても平坦なありきたりの風景写真になってしまいます。雄大な景色に感動して撮影したはずなのに、写真を見た時にいまいち思っていたのと違うな〜と感じる写真になってしまう原因の一つです。
前景と背景の被写体を組み合わせることにより、引き込まれるように目を奪われる「深さ」を表現することができます。このように前景に大きさをイメージできる程度の被写体を置くことは、あなたの写真に奥行き感を持たせることができる最も簡単な方法です。
このようなちょっとした工夫を加えて撮影すれば、それはもう平坦な風景写真ではなくなります。
上の例の木のようなものが見つからない場合、iPhoneを逆さまに持ってカメラのレンズ部分を下になるようして地面スレスレに近づけると、石ころなどを写真の手前に配置して撮影することができます。この状態でも画面で構図を確認できますので、地面に這いつくばったりしなくても素晴らしい風景写真が撮れます。iPhoneでの写真撮影って便利ですね!これもダイナミックな風景写真を撮るための重要なテクニックなので、ぜひ試してみて下さい。
ついでに、写真の縦方向の長さを三分割して、上側1/3か下側1/3の辺りに地平線や水平線、山脈など横方向一列になっているものが配置されるように気を配ると、安定感のある落ち着いた構図の風景写真になります。上の二つの例も、しっかりそういう構図になっていることにお気づきでしょうか。
次は、風景写真に物語性を加えるテクニックです。
人物を景色の一部として一緒に撮影する
風景写真に人物を含めて撮影することは、前景に興味を引かせて背景の景色と対比させて迫力を出すための素晴らしい方法です。しかし私は、典型的なスナップのような風景と誰かの顔があるような写真ではなく、撮影のためのポーズを取らずに風景を眺めている人が写り込んでいる感じの写真を撮るのが好みです。
あなたの風景写真に一人の人間の姿を含めるのは、景色にスケール感を持たせると共に、写真に物語の要素を追加することができるので、思っていたのと違うありきたりな写真から脱却するのに最適な方法です。
このストーリー性がある写真の撮影テクニックは、風景写真の人物が写真撮影のためにポーズを取っていない場合に限り有効です。人物がカメラを意識してしまうと、一気に作り物っぽくなってしまってストーリー性が吹き飛びますので、写真を見た時に興醒めしてしまう原因になります。
このように、物語性がある風景写真は強く印象に残る作品になることでしょう。
撮影時にiPhoneを胸の前に構えるいつもの姿勢だけではなく、手を上に伸ばしたりしゃがんだり、iPhoneを逆さまに持ってカメラ部分を下にするだけでも雰囲気が大きく変わり物語性に影響しますので、iPhoneのカメラのレンズの位置を色々移動させて撮影を試みると良い写真が撮れるようになりますよ!
次は、空を魅力的に撮影する方法です。
空を使った構図
印象的な空が際立つことがあり、あなたの風景写真に大きな影響を与えます。雲が広がる空を使って風景写真を素晴らしいものにすることができますが、多くの場合、青空のみの写真や変化のない曇の空は、のっぺりとしていて退屈です。
空に印象的な雲があるときは、空をメインとした風景写真の別の領域に、別の印象的なものを配置する構図でクリエイティブな作画になる場所を探してください。
上の写真は、左奥から右手前に広がる水辺のラインが、左から右に広がる青空を引き立てています。
この写真は、雲の後ろから差し込める光の線が立体感を出して風景を引き締めていますね。素晴らしい!
写真は光をとらえる芸術ですので、良い写真にするためには光に気を配ることは大切です。次は光の状態に注目します。
光の状態に気を配る
熟練した写真家は、全ての撮影において、光の状態の微妙な変化が写真に大きな違いを生むことを深く理解しています。特に風景写真は、わずかな光の変化が、写真の仕上がりに大きな影響を与えます。
毎回の撮影でできることではありませんが、同じ場所を別の光の状態、あるいは違う年の同じ頃に訪れる場ことによって、最良の結果を得ることができる場合があります。これらの2つの写真は、同じ場所で光状態の異なる風景写真の作例を示しています。
光の状態で随分と印象が変わりますね!
次は、風景写真に適した構図を意識してみましょう。
主対角線の原則を守った構図
主対角線の原則 - 重要な被写体はお互いに対角線上に配置すること - は、風景写真で最も重要な構図の基本です。主対角線の原則は、風景写真に特に適していて、多くの景色撮影の課題に対して良い影響をもたらします。
作例を見てみましょう。手前の小さい岩、奥側の大きなオレンジ色の岩 - この写真は、2つの重要な被写体(または焦点)を持っています。左手前と右奥という斜めになる位置にこれらを配置することにより、水平方向および垂直方向の両方にバランスが良くなり、調和のとれた構図の写真となります。
どうでしょう。落ち着きと広がりがある、印象的な風景写真ですね!
線遠近法を意識した写真
風景写真にとって、平坦な印象になってしまう構図は最悪です。しかし、もしあなたが風景写真の中の深さや奥行きを表現し、遠近の差を感じさせることができるのなら、写真は見る人にとても強い印象を与えることになるでしょう。
最善の方法の一つは、あなたの写真に線遠近法を用いて遠近感を与えることです(※訳注:「引き出し線」を「線遠近法」の一部として訳しています)。下の作例では、左奥から手前に伸びる道と、左から右上に伸びる森のラインが、遠近感を強調しています。
あなたの写真内の任意の目立つ線を主要な線として機能させることができますが、風景写真で最高の引き出し線(遠近を示すための線)になるのは、道路、細道、川などを用いることができます。
もっとも強い印象を残す引き出し線は、手前から奥へ延びている線で、見る人を風景の中に引き込みます。
風景写真を撮る時には、自分自身がその景色に感動したと思いますが、感動した時に自分の目線がどのように動いたか考えてみると良いと思います。例えば、自分の目線が足元から奥へ流れていったのであれば、その方向の引き出し線、左手前から右奥に目線が流れていったのであれば、その方向の引き出し線を画面内に含めることを意識してみましょう。
iPhone用広角レンズを使用
この記事の中の何枚かは、広角レンズを使用して撮影した写真です。私はいつも足によるズーム(※訳注:固定焦点のレンズを装着したカメラで、良い構図が得られるように歩き回って良い場所を見つけたり、被写体に自分で近づいたりすることを意味します)を提唱していますが、時として、広角レンズ無しでは視界全体の風景を撮影できない場合があります。
このような状況では、iPhoneのための広角レンズを持っていると非常に便利です。私の経験では「iPro」と「Moment」(※訳注:どちらもスマホ用交換式レンズの商品名です)をお勧めします。安価な製品も選択肢としてありますが、それらは光学的な品質がイマイチです。
パノラマ撮影機能を使う方法もありますが、広角レンズを使った方が景色に迫力が出ます。
三脚を使用してシャープな写真を撮影
風景写真の利点の一つは、あなたが完璧な写真を撮影するために、三脚を準備する時間が十分にあるということです。動き回るものではないので、しっかり準備をする時間があります。
三脚を使用することは、あなたがブレのないクッキリした写真を撮るためだけでなく、より慎重に写真の構図やフレーミングについて考える効果もあります。
どのような三脚もあなたのiPhoneに使用可能ですが、風景写真では濡れた岩や滑りやすい地面で使用する場面が頻繁にあるため、デジタル一眼レフカメラ用の本格的な、やや重さがあるしっかりした三脚の使用をお勧めします。
iPhoneを三脚に取り付けるためには、スマートホン用の三脚マウントアダプターが必要ですが、こちらも少し奮発してしっかりしたものを購入することをお勧めします。
HDR撮影による写真
バランスのとれた露出を得ることは風景写真の大きな課題ですが、特に空が含まれている場合は難しくなります。手前が暗く黒潰れしてしまい、空は露出オーバーで白飛びしてしまう写真になりがちで、結果として以下の作例のように雲のディテールが失われてしまいます。
この問題を解決する最善の方法は、自動的に異なる露出で撮影された同じ写真を1つの良好な露出画像に合成するHDR撮影を使うことです。
iPhoneの標準カメラアプリを使用して簡単なHDR写真を撮ることができますが、ProCameraに搭載されているvividHDR機能を使用して、よりパワフルなHDR効果を得ることができます。
ProCamera. プロ ポートレートカメラ 14.1.1(¥1,100)(掲載時)
カテゴリ: 写真/ビデオ, 旅行
販売元: Cocologics – Cocologics GmbH(サイズ: 108.3 MB)
常に練習を続けること
これらのヒントとテクニックは、iPhoneで素晴らしい風景写真を撮影する最高の出発点になるでしょう。しかし、もしあなたが生涯に一度の最高の景色に出会った時に、納得のいく素晴らしい写真の撮影を達成したいのであれば、普段からこれらの技術を意識してより良い風景写真を撮れるように練習を続ける必要があるでしょう。
あなたがiPhoneで驚くような風景写真を撮影する機会は中々ないかもしれませんが、普段から意識して練習を続けていればiPhoneでの写真撮影技術は間違いなく向上します!
上達を急ぐならプロの講座の利用も考えよう
どんな分野も努力次第で独学でも上達が可能ですが、それにはとても時間がかかります。
短期間での上達を目指すなら、誰かに教わるのが一番良いと思います。
とはいっても、写真教室に通うのは大袈裟な感じがしてしまうとという人は、プロの教材を利用してみるのはどうでしょう。
上達が感じられると楽しい
勉強になるヒントが多く、また写真がとてもきれいで素敵です。いつかこんな写真が撮れるようになりたいものです。そのためには「10. 常に練習を続けること」、練習あるのみですね!…と書くと重たいですが、難しく考えず、いいなっ、これだって思ったものを撮影する時に、この記事の10のヒントからひとつずつ試してみて、腕前の上達を楽しめばよいかと思います。
【追記2021.09.20】風景写真の撮影を楽しんでいるうちに、お気に入りの一枚が撮れました!夕焼けが田んぼに反射して鏡のように水面に写っていました。光の具合とか色合いとか、自分的にはとても気に入っています。
この記事にある10のヒントを意識して撮影を続けていた効果かな、と自画自賛しております。
ちなみに、撮影に使ったiPhoneは、すでに4年ほど使っている iPhone 8 Plus の標準カメラアプリです。iPhone 13が発表になっていますが、まだまだ8+を現役で使い続けますぜ!
ProCamera. プロ ポートレートカメラ 14.1.1(¥1,100)(掲載時)
カテゴリ: 写真/ビデオ, 旅行
販売元: Cocologics – Cocologics GmbH(サイズ: 108.3 MB)
Emil Pakarklisについて
Emil PakarklisはiPhonePhotographySchool.comの創設者であり、WebサイトにてiPhoneでどうやってより良い写真を撮影するかお教えしています。もしあなたのiPhoneでの写真撮影を改善したいのであれば、EmilがiPhoneでより良い写真を撮り始めたいすべての人のために作成した、このページを確認してください。
訳注:この記事はEmil Pakarklisによって2014/12/12にPROCAMERA BLOGに投稿された「10 Tips For Taking Stunning Landscape Photos With Your iPhone」という英語の記事を、PROCAMERA BLOG日本語担当者が日本語訳してiPhone 研究室に投稿したものに、管理人Ozkが加筆と訳の修正を行いました。記事の提供に感謝いたします。
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