音楽ストリーミング再生で通信量(ギガ)をどれ位使うのか調べてみた
サブスクのストリーミング再生で音楽が聴き放題なのは便利ですが、通信量をどれくらい使うのか気になりますよね?
ギガをガンガン使ってしまうのではと心配していると、Apple MusicやLINEミュージックなど音楽アプリを思いっきり楽しむことができません。
ストリーミング再生を使いまくったら、どれ位の通信量を使うのか調べてみました。
ストリーミング再生とは
ストリーミング再生というのは、音楽や動画を再生するとその都度サーバーからデータを取り寄せてくる方法のことで、ネットにつながってさえいれば自分のiPhoneやスマホにデータをダウンロードして入れておかなくても、いつでも好きな曲を聴いたり動画を観ることができるサービスです。
毎月一定の金額で聴き放題になる各社のサブスクリプション型(サブスク)ストリーミング再生サービスが普及して、音楽や動画を楽しむ環境が大きく変わって便利になりました。
サブスク型ストリーミング再生が普及する前は、楽曲のデータを購入して自分のiPhoneにダウンロードしておかないと、聴くことができませんでした。
便利になったのはありがたいんだけど、パケット(ギガ)を使いまくる心配はないのでしょうか?
サブスク型音楽ストリーミング再生を使うメリット
ストリーミング再生なら、外出時もLTEならもちろん、3G通信でもほぼ途切れることなく快適に音楽を聴くことができます。スマートホンを使うメリットのひとつですね。
Apple Music など主要なサービスでは6,500万曲を超える楽曲が利用可能なので、ストリーミング再生サービスで聴きたい曲が見つからないことの方が少ないと思います。特に洋楽ファンにとっては、最新の曲もどんどん追加されていきます。一日中聴いていても新鮮な出会いがあるほどです。
メリットだらけのストリーミング再生サービスですが、ダウンロードと違って通信を使うというのがデメリットになります。
そこで気になるのが、パケット通信(Wi-Fiではなく電話回線の通信)でこれら音楽アプリ(Apple Music, LINE MUSIC, YouTube Music, Spotify, iTunes Match…)のストリーミング再生を使いまくったら、月間○GBや3日間で○GBの通信量制限(使えるギガの量)に引っかかるのか?パケ死しないのか?ということですよね。
ストリーミング再生でどれくらい通信量が発生するのか調べてみました。
音楽ストリーミング再生でパケットをどれくらい使う?
Apple Music を基準にして通信量を推定してみましょう。
設定に3分の曲によるおおよその通信量の目安となる説明があります。
- 高効率(HE-AAC): 1.5MB
- 高音質(AAC 256kbps): 6MB
- ロスレス(24bit/48kHz): 36MB
- ハイレゾ(24bit/192kHz): 145MB
ざっくりと計算すると、ずーっとストリーミングしながら再生を続けた場合の一時間あたりの通信量は
- 高効率で30MB
- 高音質で120MB
- ロスレスで720MB
- ハイレゾで2,900MB(2.9GB)
になりますね。通勤や通学の往復で毎日2時間ストリーミング再生で音楽を聴いたとして、高音質だと3日で720MB、一ヶ月では7.2GB位ということになります。ロスレスだと3日で4.32GB、一ヶ月だと43.2GBになります。ハイレゾに至っては、3日で17.4GB、一ヶ月だと174GBにもなります。
ロスレス以上だと、ahamoとかpovoとかの月間20GBでは全然足りないじゃあないか!
とはなりません。
ストリーミング再生には通信量を節約する仕組み「キャッシュ」がある
それはビットレートが下がるからではなく、各社ストリーミング再生サービスの仕組みはとても良くできていて、一度再生した曲はキャッシュに保存されています。キャッシュというのは、一度使ったデータを一時的に保存しておいて、同じものを繰り返し使う場合にはまた通信を繰り返し行わなくも、迅速に呼び出せるようにする仕組みです。
つまり、2回目以降の再生ではキャッシュに残っているデータを使って音楽を聴けますので、通信は発生しないか、発生してもごくわずかになります。
試しに、iPhone の標準ミュージックアプリで一度ストリーミング再生で音楽を聴いた後に機内モードにして通信を切っても、二回目以降は問題なくその曲を再生する事ができます。
お気に入りのアルバムやプレイリストを繰り返し聴いている限り、ストリーミング再生でもパケット通信はほとんど使わないと考えて大丈夫です。MVNOの格安SIMを使っていて、パケット通信量をできるだけ節約したいという場合も、聴きたい曲を自宅のWi-Fi環境下で一度再生しておけば、外出時にもストリーミング再生のためにパケット通信を使う心配がほとんどなくなります。
あらかじめデータをダウンロードする方法も
さらに Apple Music では、お気に入りのアルバムやプレイリストの「 … 」アイコンからメニューを表示して「オフラインで再生可能にする」という指定をすることで、手動で明示的にiPhone本体のストレージに音楽データを保存することもできます。
こうしておくと、iPhoneの本体に音楽データを保存している状態ですので、その曲を再生するときに通信回線は全く使わなくなります。
ダウンロードとキャッシュの違い
どちらも通信量を抑えるという意味では同様の効果がありますが、オフライン再生用にダウンロードすることと、キャッシュに保存されていて繰り返しストリーミングされないことの違いは、
・オフライン: 本体のストレージから消えない
・キャッシュ: 状況によっては消える
という部分になります。
また、「オフライン再生用にする」という操作を行って明示的にダウンロードした場合は、256kbps の高音質なデータで保存されますので、iTunes Plus で購入した楽曲と同等の音質になります。お気に入りの曲はオフライン再生用にダウンロードした方が、満足感の高い音で聴けるわけですね。
ダウンロードのメリット
これはパケット通信を使わない(ギガを消費しない)ことですね。
それから、通信状態が悪い場所や、飛行機の中など電波を発する機器の使用ができない場合でも、通信を行わない状態で音楽を聴くことができます。
ダウンロードのデメリット
あらかじめダウンロード保存する機能を使いまくると、パケット通信を使わない代わりにプレイリストをiPhone本体に保存して持ち歩くのと変わらないくらいに、本体のストレージ容量を使いまくりますので、その点については注意が必要です。
Apple Music の説明でおおよその保存容量を見てみましょう。
10GBのストレージ容量で保存できる曲数
- 高音質: 3,000曲
- ロスレス: 1,000曲
- ハイレゾ: 200曲
ハイレゾの破壊力がすごいですな。
本体のストレージ容量が足りないと、新しいアプリをインストールすることができなかったり、何かのアプリのデータがiCloudに移動されて本体からは削除されていて、使おうと思った時にダウンロードが終わるのを待たされたり、といった不便が生じることもあります。
ストレージの空き容量に不安がある場合は、本当によく聴くものを吟味してオフラインで保存するように管理しましょう。
ストリーミング再生のキャッシュのメリット
パケット通信を使わない(ギガを消費しない)ということについてはダウンロードと同じですが、ユーザーは何も操作しなくても良い、アプリに全てお任せで大丈夫という簡単さ・気軽さが最大のメリットですね。
ストリーミング再生のキャッシュのデメリット
注意が必要なのは、お気に入りの曲をプレイリストに入れておいただけでは、再生したことによってキャッシュが保存されるものの、オフライン再生用にダウンロード保存するのとは違って、再生の頻度が低いといずれはキャッシュから削除されてしまうことです。
知らないうちにキャッシュが削除されていた場合には、その曲を聴いた時に、知らないうちにパケット通信が発生してギガを消費しているという状態になります。
外出時にも確実にパケット通信を使わないで音楽を聴きたい場合は、プライリストを丸ごと「オフラインで再生可能にする」という操作をしてiPhone本体にダウンロードしましょう。
サードパーティの音楽ストリーミング再生サービスも同様
LINE MUSIC や Google Play Music や Spotify でも同様に、一度再生した曲はキャッシュされていますので、再生するたびにパケット通信でダウンロードしなおすわけではありません。
ただ、Apple MUSIC と違って、LINE MUSIC はキャッシュされている曲であってもバックグラウンドで若干の通信が行われるようです。キャッシュがない場合と比べて通信料が少ないとはいえ、ちょっと気になりますね。
LINE MUSIC の場合は低音質(64kbps)・中音質(192kbps)・高音質(320kbps)とファイルサイズが異なる3つの音質が選択できるので、通信量が気になる場合はアプリの設定から低音質を選択しておくという使い方もできます(デフォルトでは通信環境によって自動的に音質が切り替わります)。
また、バージョンアップによって、LINE MUSIC でもオフライン再生を手動で設定できる機能が追加され、最大500曲まで端末に保存しておくことができるようになりました。
http://music-mag.line.me/ja/archives/36584909.html
Spotify の場合、無料会員は曲の指定やダウンロード保存ができません。あらかじめダウンロード保存しておいて、オフラインで音楽を楽しむためには月額980円の有料会員になる必要があります。
ストリーミング再生での通信量の心配は少ない
というわけで、ストリーミングサービスを思いっきり楽しんでも、サーバーにある音楽ライブラリーを全部ひたすらストリーミングで聴き続けるという特殊な使い方でもしない限り、パケット通信の制限に引っかかったり通信料が跳ね上がったりという心配は必要ないでしょう。
ストリーミング再生で音楽を楽しむか、ダウンロードして音楽を楽しむかは、上記の解説を参考にして状況によって選べば良いのではないでしょうか。
ただ、問題になるのは beats 1 ラジオサービスとハイレゾ音源ストリーミングのサブスクです。
個人的にはラジオが好きで、自分が知らなかった新しい曲と出会えるのでガッツリ楽しんでいますが、これをセルラー回線で使いまくるとだいぶパケットを使います。同じ内容が時間をおいて再放送されますが、それまでの間隔が長いし全部がキャシュされているわけではなさそうな雰囲気です。
24時間いろんな音楽が流れてくるのは嬉しいのですが、beats 1 ラジオはWi-Fi環境だけで楽しむように気をつけたほうがよさそうです。
また、通信環境が整ってきているとはいっても、ハイレゾ音源をストリーミングで聴きまくると通信量を爆食いします。大手キャリアから20GB使える格安プランが出ましたけど、通信量完全無制限のプランを契約している人じゃないとハイレゾのサブスクは現実的ではないですね。
Spotify はランニングのペースに合わせて自動で選曲してくれる機能などがありますが、これを使いまくるとパケットの使用量が跳ね上がります。使っていてとても楽しい機能なのですが、パケット通信量を節約したい場合にはちょっと注意が必要になりそうです。