最速の文字入力? フリックボードは新発想の日本語入力iPadアプリ

2017/07/04

日本語の文字入力は、物理キーボードなら親指シフト、ソフトキーボードならフリック入力が最速だと思います。

それなら、両手8本の指でフリックしたら、最強じゃないですか?

iPadならではの変わり種日本語入力アプリを紹介します。

iPadのキーボード事情

iPadでもキーボードの分割表示に設定することで、iPhoneと同様のテンキーによるフリック入力が可能ですが、あんまり文章の入力効率は良くないですね。右手で入力、ひらがなが入力されるのはカーソルの位置、画面上の少し離れた左手で変換候補を選択、という作業になるので、視点の移動が多くなってしまいます。検索のキーワードを入力する程度ならそんなに不便に感じませんが、ある程度の長さがある文章を書くとなると大変です。

一文字入力するのに二打鍵必要になるローマ字入力は、親指シフターとしてはかったるい。というか、今更ローマ字入力で長文なんか書けませんって思います。

iPhoneでのフリック入力なら、両手の親指を交互に使うようにすると、高速で快適な文字入力が可能です。ブログ記事程度の文章量なら、iPhoneでささーっと書いてしまうのが楽だったりするくらいです。

iPadは仕事も含めてかなり色んなことにガッツリとヘビーに使いまくってますが、文章の作成についてはほぼ諦めていました。

新発想のフリックキーボード登場

フリック入力は、現時点ではソフトウエアキーボードとしては最高の文字入力方法だと思うのですが、片手の親指1本よりは両手で二本の方が高速で効率が良いんですよね。

それならば、通常のフルサイズキーボードのように両手を配置して、8本の指でフリック入力できたらもっと効率がいいのではないかと思いますよね。

二段のキーを使って、両手8本の指でフリック入力するためのキーボードアプリ、フリックボード(flick board)がそれを叶えてくれます。

フルキーボードのような手の配置

画面に表示されるキーは三段のみ。しかもあ行からや行まで上一段に表示されていて、ら行とわ行だけが二段目にあります。ほとんどの文字を一段だけで入力できてしまいますね。

た行のところに左手の人差し指を配置すると、自然にさ行に中指・か行に薬指・あ行に小指が配置されると思います。
同様に、右手の人差し指をな行に配置すると、各指が担当するべきキーのところに配置されるはずです。

iPhoneのフリックキーボードと同じで、キーをタップするとあ段が入力されます。上にフリックするとう段が入力されるのも同じです。

変換エンジンはMozc(おそらく)

肝心のかな漢字変換がお馬鹿ではどうにもなりませんが、フリックボードで使われている変換エンジンはおそらく、Google日本語入力のオープンソース版Mozc(もずく)です。

かな漢字変換エンジンはそれぞれ特徴のある変換をするものなのですが、Apple の日本語IMとATOKは似たような傾向があるのに対し、Google日本語入力はちょっと違った漢字を候補として選択をします。

例えば、「みずのさんたいへんか」という言葉を入力すると、Apple日本語IMやATOKは

「水の三態変化」

と変換するのに対し、Google日本語入力とMozcを使った日本語入力ソフトは

「水野さん大変か」

と変換します。どちらが正しいかは文章を書く人によって変わるので、どちらが良いという話ではないのですが、こういった変換の特徴でエンジンを推測できたりします。

フリックボードの漢字変換はGoogle日本語入力と類似した傾向があるので、おそらく変換エンジンにはMozcが使われています。

純正のユーザー辞書を利用

どんなに優れたかな漢字変換エンジンを搭載していても、変換辞書に単語として登録されていなければ、正しい漢字に変換することはできません。
反対に、しっかりと鍛えたユーザー辞書があると、それは使う人自身にとっては最強の日本語入力環境になります。

Apple日本語IMは、iPhone・iPad・Mac間で自動でユーザー辞書を同期してくれるので、どの環境で単語登録をしても自分が使う他の端末にも反映されて、とんでもなく便利です。

文章の作成に、MacとiPhoneでは標準のApple日本語IMを使い、iPadだけでフリックボードを使っていたとしても、ユーザー辞書の内容が反映されるので安心して使うことができます。これはとても大切な機能です。

もちろん、フリックボードを使っていて、希望通りに変換されなかった単語は、iPadの設定アプリで標準のユーザー辞書に登録すれば、フリックボードでも使えるようになりますし、iPhoneやMacでも使えるようになります。

基本は無料

とんでもなく便利で賢い日本語入力アプリですが、なんと基本は無料で使えます。というか、無料の機能だけでほとんど困ることはないと思います。

アプリ内課金では、定型文などの入力を省力化するコマンド機能が使えるようになります。

この記事を作成している時点では、3ヶ月間のコマンド機能利用料金が120円、月額に換算すると40円です。

個人的には、こんなにも便利なアプリを開発してくれたことに感謝して、寄付のつもりで課金していいなと思いました。

ちょっと残念なところ

とても便利なキーボードアプリなのですが、まだちょっと未完成な感じが残っています。

・あ段の入力をした直後に他の段をフリック入力すると、その文字を取りこぼしてしまいます。キーボード上の表示としては反応しているのに。例えば、「あい」とか「さけ」とか「かう」といったように、「あ段+フリック」という入力をすると取りこぼしになりますね。

・変換候補の表示が小さい。もう少し大きく表示した方が、選択しやすくなって文章作成効率が上がると思います。

・公式サイトがない。アプリの詳細情報を知りたいと思っても、アプリの公式サイトが見当たりませんでした。作者さんに連絡をしたい場合は、App Storeのコメントしかないんでしょうかねぇ。

親指シフトを超えるかも

AppleのTV-CMでも、iPadがあればカバンが軽くなりますよ〜なんて言ってますが、文章の入力に関してだけはパソコンの代わりにはなりませんでした。
文章作成のために外付けのキーボードやスマートキーボードを使うくらいなら、素直にMacBookを持ち歩いたほうがいいに決まってます。エミュレーションソフトで親指シフトが使えるし。

フリックボードを使ってみたら、むしろiPadを使ってソフトキーボードで入力した方が、文章の作成が早くなるんじゃないかと思いました。それくらい便利なアプリです。

個人的には、iPadアプリとして過去最高のヒット作です!

デスクなどにiPadを置けない時用に、「手持ちモード」というのも搭載しています。これは、iPadを手に持って、両手の親指で入力するのに適したキー配置になっています。

iPadでも両手親指フリック入力ができるなんて!もうiPadが最強の文章作成環境になりそうです。

フリックボード 4.0.0(無料)
カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ
販売元: hida hitoshi – hitoshi hida(サイズ: 47.4 MB)

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