Lacailleなら最新macOSでも親指シフトができる
Lacaille(ラカーユ)は、Sierra 以降の最新 macOS でも親指シフト入力が可能になるソフトウエアです。
最大の特徴は、機能拡張ではない通常のアプリケーションで親指シフト入力をエミュレートしているというところにあります。
これの何が重要かというと、macOSのバージョンアップで使えなくなってしまう心配がとても少ないと言えるわけです。
親指シフターの事情
Macで親指シフト入力というと、かつてはTESLA、最近ではKarabinerを利用していた人が多いのではないでしょうか。僕もTESLAの野良ビルドをしていたこともあります。
macOS Sierra では大きな変更があって、親指シフター御用達のKarabinerが動かなくなってしまうということが話題になっています。
親指シフターにとって、一文字入力するのに二打鍵必要になるローマ字入力や、ホームポジョンを崩しながら四段のキーを使うJIS日本語配列は効率が悪くて、文章作成時にストレスを感じるものなんです。なので、macOSのバージョンアップで親指シフト入力ができなくなるといういうのは、バージョンアップ自体を見送る理由になるほどの大問題です。
Lacailleなら大丈夫
Lacailleについて、開発元の説明を引用します。
Lacaille は macOS や OS X で親指シフト(NICOLA)入力を可能にするアプリケーションです。
- macOS 10.12 Sierra および OS X 10.8 〜 10.11 El Capitan で動作する、機能拡張を含まないアプリケーション
- 設定画面でのキー配列定義の編集機能と、TESLA野良ビルド用のキー配列定義ファイルの読み込み機能
- GNU General Public License バージョン 2 以上のライセンス
そう、TESLAやKarabinerと違って、機能拡張を含んでいないというのが最大の特徴です。
これによって、OSの動作に悪影響を与える可能性が小さいし、OSのバージョンアップによって使えなくなってしまうという心配も少ないのです。
Lacailleの導入と使い方
開発元サイトから最新版をダウンロード
開発元サイトにアクセスして、「ダウンロード・新機能」というタブを開きます。dmgファイルへのリンクがありますので、最新版をクリックします。
Lacailleのインストール
TESLAやKarabinerを使っている場合は、きっちりアンインストールしてMacの再起動をしておきましょう。
ダウンロードしたdmgファイルをダブルクリックして開きます。
Lacailleは通常のアプリケーションなので、「親」と書かれたLacailleのアイコンをアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップでコピーします。
Lacailleの起動
アプリケーションフォルダやLaunchpadから、アプリケーションを起動します。最初は「開発元が未確認のため開けません」と拒否られると思います。
システム環境設定の「一般」タブを開いて、左下の鍵マークをクリックします。自分のMacアカウントのパスワードを入力して、設定の変更が可能な状態にします。
「Lacailleは開発元を確認できないため、開けませんでした」と書いてある右側の「このまま開く」ボタンをクリックします。
次に、「プライバシー」タブを開きます。Lacailleにチェックを入れて、コンピュータを制御する許可を与えます。
これで準備が完了!Lacailleを起動できます。
Lacailleの使い方
Lacailleを起動すると、メニューバーの中に「親」アイコンが表示されますので、「環境設定」を開きます。
「NICOLAエミュレーション」にチェックを入れると親指シフト入力が可能になります。
「かな」キーを押すと親指シフト入力、「英数」キーを押すと通常のアルファベット入力に切り替わります。
「ログイン時にLacailleを起動」にもチェックを入れておいた方が便利でしょう。
左右の親指シフトキーに、単独打鍵した場合の「変換」「無変換」を割り当てることができるので、より親指シフトキーボード的な動作にすることも可能です。
Apple純正の日本語IMを使っている場合、「/」キーで入力する文字について、よく使う方によって中点かスラッシュかに設定すると良いと思います。
これでとても快適な、親指シフト入力環境が完成です。
気づいた不具合
機能拡張を含まないため、OS自体が不安定になるとか動作が遅くなるという心配は少ないです。ほとんどのユーザーにとって、TESLAやKarabinerと変わらないか、むしろ快適な環境になると思います。
僕はこの機能拡張を使わないという点が気に入って、しばらく前からLacailleに移行していたのですが、特別大きな問題はありませんでした。
が、以下の点だけ気になりました。
- NICOLAエミュレーションがオンになっていると、スクリーンショット撮影の際にウインドーのみの撮影が指定できない。Macでは、「command+control+4」で指定範囲のスクリーンショット撮影になりますが、その状態でスペースキーを押すとカーソルが当たっているウインドーのみを撮影できます。このウインドーのみの指定ができませんので、撮影の前に「英数」キーを押してNICOLAエミュレーションを解除する必要があります。
- 画面共有を使って別のMacを操作する時、共有先を全画面モードにしているとNICOLAエミュレーョンの解除がうまくいかなくて、アルファベット入力モードなのに親指シフトのローマ字入力が直接入力されて英文をかけないことがあります。
かなりマイナーな話なので、ほとんどのユーザーにはどうでもいいことではないでしょうか。
おわりに
もうじき macOS Sierra のダウンロードが可能になりますが、これを機に親指シフターの皆さんは Lacaille への移行をしておいた方がいいのではないでしょうか。
なんにしても、機能拡張を含まないことによって、今後のOSの大幅アップデートがあった場合でも、使えなくなる心配がとても小さいというところが嬉しいですよね。