iPad Pro 9.7 レビュー: 1ヶ月使い倒して解った王道の強さ

2016/05/02

発表と同時に予約して、発売日に受け取って使い始めたiPad Pro 9.7インチモデル Wi-Fi + cellular (LTE)は、王道タブレットの完成形ですね。快適としか言いようがない。

大きさと重さはiPad Airと同等なのに、キビキビとした動作が気持ちいいし、Appleペンシルのアナログ感も最高です。

なんといっても画面が綺麗で、写真を観る時の色の美しさにウットリします。

ipad_pro

スペックは完成の域

  • 画面
    • 9.7インチ(対角)LEDバックライトMulti-Touchディスプレイ
    • 2,048 x 1,536ピクセル解像度、264ppi
    • 広色域ディスプレイ
    • True Toneディスプレイ(自動で色温度を調整)
    • 耐指紋性撥油コーティング
    • フルラミネーションディスプレイ
    • 反射防止コーティング
  • 本体サイズ: 高さ240mm x 幅169.5mm x 厚さ6.1mm
  • 重さ: Wi-Fiモデル 437g, Wi-Fi + Cellularモデル 444g
  • スピーカー4基搭載で迫力のサウンド
  • チップ: 64ビットA9Xプロセッサ+M9コプロセッサ
  • メモリ2GB搭載
  • 背面カメラ(写真)
    • 1200万画素
    • 手振れ補正(ソフトウエア式)
    • 像面位相差式の高速なオートフォーカス
    • 自然な色合いになるTrue Toneフラッシュ
    • f/2.2の明るいレンズ
  • 背面カメラ(動画)
    • 4Kビデオ撮影(3,840 x 2,160、30fps)
    • 1080p HDビデオ撮影(30fpsまたは60fps)
    • 720p HDビデオ撮影(30fps)
    • 1080p(120fps)および720p(240fps)スローモーションビデオに対応
    • 手ぶれ補正機能を使ったタイムラプスビデオ
    • 映画レベルの動画手振れ補正
    • 3倍ビデオズーム
    • 顔検出
    • ビデオへのジオタグ添付
  • 前面カメラ
    • 5百万画素の写真
    • 720p HD動画
    • 画面が光るRetina Flash
    • f/2.2の明るいレンズ
    •  
    • 写真と動画の自動HDR
  • 第二世代のTouch ID
  • Appleペンシル対応

これ以上何が必要なの?って感じがするくらいのてんこ盛りハイパワーiPadです。もう完璧。完全に完成の域のハードウエアです。若干値段は高いですが、4年は不満なく使い続けられるだろうと思っていますので、実用期間を考えたらトータルでは安い買い物ですよ。

iPhone 6s/6s Plusが搭載したForce Touch(押し込む力の感知)には非対応です。とは言っても、あれば便利な場面もあるという程度の機能で、なくても困ることはないですね。

12.9インチのiPad Proはメモリを4GB搭載しているので、9.7インチモデルの2GBはちょっと見劣りする感じがありますが、実際の使用上は問題ないと思います。

基本的な使用感は良好

アプリの起動、動作、切り替えのどれもサクサク・キビキビ動くので、快適で気持ちいいとしか言いようがない。

画面分割機能も便利で、資料や写真を表示しながら文章を書いたり、ノートパソコンで行うような作業をiPad Proで出来てしまいます。というか、一般的なパソコンの使い方なら、iPad Proに置き換えることができるんじゃないでしょうかね。

むしろ、ウェブのサービスなどでMacには非対応になっていてもiOSには対応しているというものも多いので、iPadの方が便利という面もあったりします。

それに、iPadを使っていると、ウェブブラウザーの使用頻度はとても低くなります。

パソコンを使っているといろんなサービスを利用するためにブラウザーに依存する場面が多いですが、iPadの場合は専用アプリを使うことが多いですよね。

FacebookとかTwitterとか使う場合も、iPadではアプリを使う人がほとんどではないでしょうか。iPad Proのパワーなら、専用アプリを複数立ち上げて切り替えながらの動作も高速で快適です。

バッテリーの持続時間もパワフルで、出張に持って行ってメモ書きや調べ物に一日中ヘビーに使い倒しても二日に一回の充電で大丈夫な感じです。

バッテリーの容量が大きいためか、充電には時間がかかります。充電する際は寝る前にアダプターにつないで、朝起きたらフル充電状態で持って出かけるという使い方になってしまいそうです。充電中の発火の可能性などがゼロではないので、できれば寝る時の充電は避けたいとは思うのですけどね。

買うならセルラーモデルでしょ

iPadセルラーモデルなら、iPhoneでテザリングしたりWi-Fiスポットを探したりしなくてもいつでもネットに繋がります。これはすごく大切な機能で、iPadの使用感や便利さに大きく影響します。

僕はずっとセルラーモデルにこだわって使っているのですが、Wi-Fiモデルだと外に持ち出さなくなって、家にいる時しか使わなくなり、そして使用頻度が下がっていくという感じになるんじゃないかと思うんですよね。

それから、テザリングをする場合もiPhoneにサクッとつながるので特に不便はないと言っても、iPhoneのバッテリーの心配をしないといけないのが面倒です。ただでさえ外出時にはバッテリーを消費しがちなのに、テザリングでがっつり消費するよりはiPhoneを使っちゃえ!となりますよね。iPadの大画面の方が便利な場合でも。

iPadのセルラーモデルを使って、必要な場面ではiPadを躊躇なく使えるようになると、画面の大きさの恩恵があって便利なだけではなく、iPhoneのバッテリーの消費を抑えるという相乗効果にもつながります。

僕はSo-netの0 SIMをiPad Pro 9.7インチに入れて使っていますが、かなり使ったつもりの4月で1GBには達していなかったので、500円くらいの通信料で済みそうです。

Appleペンシルのアナログ感はもはや鉛筆

iPad Proを買うなら当然Appleペンもつけるでしょ。

使ってみたら、これまでのスタイラスペンとは別次元でした。

僕はこれまで、JOT Script Evernote Edition というスタイラスを使っていました。これは一般的な静電式のスタイラスとは違ってペン先が比較的細くて硬いので、ボールペンに似た書き味になっています。

対応アプリを使うと、画面に手を置いて描くことができたり、反応速度も早めで良かったのですが、Bluetoothでの接続に時間がかかるためとっさのメモの時にはテンポが悪いと感じていました。

これに対して、Appleペンシルは流石に純正。使おうと思って手に持った瞬間に接続が完了しているという印象です。

画面に書く動作に対する反応速度も別次元で、ほとんど遅延を感じません。ペン先から実際に入力される位置の差が小さいので、書き心地がとても良いです。

デジタル機器の操作感がここまでアナログに近づいたのか!

というのが正直な感想ですね。

「iPad Pro + Appleペンシル + 手書きノートアプリ」の使用感は、まさに紙のB5ノートに鉛筆でメモを取る感覚。Penultimateなら、そのままEvernoteに保存されて手書き文字も認識して検索対象になるので、紙のノート以上の便利さになります。

Penultimate
カテゴリ: 仕事効率化
投稿時の価格: 無料
App Store

Appleペンシルの本体径はまん丸ですが、重心は真ん中にはなっていません。これが何に役立つのかというと、平らな机に置いたときにも転がり続けないで、ある程度のところで止まります。賢い!

しかも、必ず「Apple Pencil」のロゴが上になって止まります。細かいことですが、ユーザーが愛着を抱くには心憎い演出だな〜と思いました。

アップルペンシルの長さは、全く削っていない新品の鉛筆くらいありますのでちょっと長いです。個人的には気になりませんが。

それから、重さが20グラムあるので、筆記用具としてはだいぶ重い部類になると思います。華奢な女性が長時間使うにと疲れるかもしれません。個人的には気になりませんが。

カメラが実用的

iPadみたいな大きなものを構えて写真を撮る人なんかいるんかいなと以前は思っていましたが、最近は全然珍しいことではなくなりましたね。

ただ、これまでのiPadのカメラは、iPhoneほどには気合が入っていなかったというかおまけ的な雰囲気が強いというか、これをカメラとして使いこもうというものではなかったように思います。

iPad Pro 9.7 が搭載するカメラは、iPhone6sと同等の1,200万画素の写真・4K動画対応というスペックです。

実際に撮影してみると、iPhoneで撮影するのと見分けがつかない画質です。撮影時に大きな画面で確認できるのは、やってみると思った以上に便利だと感じました。

カメラの手振れ補正機能は、写真・動画ともにソフトウエア式です。iPhone 6s Plusの場合は光学式手ブレ補正機能を搭載していますので、それに比べると少し見劣りがするのは事実ですが、それでも気軽に写真や動画を撮影するには十分な補正がかかっていると感じます。

ボリュームボタンでシャッターを切る機能もiPhoneと同様にありますので、縦向きの時は左手で下からしっかり支えつつ右手でシャッターを切るという使い方もできます。

本体の大きささえ気にならなければ、撮影の道具として使うことも可能なほどカメラとして実用的です。

そして何と言っても、画面表示の色の美しさが特筆ものです。パソコン用のかなり高級な液晶モニターを凌駕すると言っても過言ではないレベルの綺麗さですので、iPad Proで写真を鑑賞するのがとても楽しいです。写真が好きな人なら、このためだけに買ってもいいと全力でお薦めできます。

True Tone の色調節が絶妙

iPad Pro 9.7インチモデルを長時間使っていても、あんまり目が疲れないなという感じがします。

僕は仕事でPDFの文章を読む機会が多いのですが、以前からiPadを使っていました。iPad Pro 9.7 を使い始めて、最近になってなんとなく読んでいて疲れないようが気がし始めたんです。

これはきっちりと検証したわけではないので、予想でしかないのですが、Appleが「True Tone ディスプレイ」と呼んでいる色調節技術が関係しているのではないかと思います。

Appleのサイトから説明文を引用すると、

どんな光の下でも、
最適な光で照らします。

たくさんの人がiPadをあらゆる場所で使っています。だから新しい9.7インチiPad Proには、True Toneディスプレイを搭載しました。先進的な4チャンネルの環境光センサーを使い、周囲の光に合わせてディスプレイの色と明度を自動的に適応させます。これにより、まるで紙を見ているかのように、より自然に、そして快適に読むことができます。

とあります。

iPad Pro 9.7インチを使い始めるとすぐ、画面の色が綺麗とか色が自然だと感じます。PDFの文章を読んでいて疲れないということにも、「True Tone ディスプレイ」の技術が効果的に働いているんでしょうね、きっと。

短期間、設定から「True Tone ディスプレイ」をオフにして使ってみましたが、何となく影響が有るような無いような…

個人の印象でしかないのでハッキリとは言えないのが残念ですな。

ただ、しばらく iPad Pro を使ってから iPhone 6s Plus に切り替えると、同じ場所にいても色合いの違いや眩しさを感じますので、True Tone の色調整機能はかなり優秀で効果的なんだろうなと感じます。

スピーカーが良い

iPad Pro 9.7 モデルは、12.9 インチと同様に4隅にスピーカーを搭載していて、本体が縦向きの時も横向きのとても自動で最適な音が出るように設計されています。

正直、所詮タブレットのスピーカーなんで期待していなかったのですが、予想外に良い音を聞かせてくれます。これには驚きました。

ノートパソコンの内臓スピーカーなんかと比べたら当然ですが、卓上用の小型スピーカーよりは良い音質だと思います。

もちろん本格的にオーディオとして音楽を鑑賞するには物足りないですが、軽く音楽を流しながら作業しないな、といった使い方には十分すぎますね。

iPhoneやiPadとワイアレスで接続できるオーディオも増えていますが、小さなiPad ProだけでBGMが完結するのはなかなか良いものだなと思いました。

Smart Keyboardは不要、画面で十分

iPad Pro 9.7 にパソコンの置き換えとしての使用を期待している場合、文字入力のためのSmart Keyboardが気になっている人も多いのでは。

が、はっきり言って要らないと思います。

キーボードも一緒に持ち歩くくらいなら、いっその事MacBookとか薄型のノートパソコンにした方が圧倒的に便利です。

それに、画面のソフトウエアキーボードも、スタンドなどを利用して適度な角度をつけたら、意外にタイプしやすいと感じるはずです。

物理的キーボードと違って、ホームポジションを指先だけで確認することはできませんが、iPad Pro本体の淵を親指で触るなどちょっとした工夫である程度は補えます。

というわけで、少し慣れが必要ですが画面のキーボードで問題なく文字入力ができるはずなので、高いお金を出してSmart Keyboardを買う必要はないでしょう。

それに日本語入力の場合、慣れてしまえばテンキーのフリック入力が、一文字あたり二打鍵必要なローマ字入力より高速で快適になると思います。

AppleCare+ には当然加入

iPhoneの場合は純正保険サービス「AppleCare+」に加入するべきかどうか悩むところですが、iPad Proの場合は必須だと思います。未加入の場合の修理代金が高いので。

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12.9インチのiPad Proが以前の74,400円から大幅に値下がりしていますが、それでも高い。9.7インチの場合、ついうっかり画面を割っちまったら42,400円+消費税ですよ。それが4,400円で済むようになるんですから、加入しておくべきでしょう。

残念なところ

背面のカメラが出っ張ってる… orz

箱を開けて本体を手にした時、ここにはガッカリしました。出っ張りはiPhone6s/6s Plusと同じだと思ってください。

平らな机などに置くと、当然グラグラします。カメラがない側の角が浮いていますので。

iPad Proを置いて、Appleペンシルで書くとかキーボードでタイプするとか、そういう作業をしているとこの少し浮いているところが沈み込んでカタカタと机に当たるのが気になります。

見た目的にも使用感的にもダサいので、なんとかできなかったものかと猛烈に残念です。

カメラが実用的という評価をしましたが、こんな風に出っぱるくらいなら旧来の800万画素のままにしておいて欲しかった。

Smart Connectorが活かされていない

新しい接続端子として「Smart Connector」がありますが、しょぼいキーボードをつなぐだけではもったいないというか意味がない。

このコネクターにはどれくらい拡張性があるんでしょうかね。

例えば、キーボードの他にディスプレイを接続して、必要な時には大画面で作業できるとか、Surfaceみたいな使い方ができたらめちゃ便利だと思うんですが。

何か「Pro」と呼ぶのにふさわしいアクセサリーが登場してくれたら嬉しいと思います。

そういったアクセサリーで何らかの機能を追加できて、本当の意味でパソコンが不要になってこその「Pro」なんじゃないのかなぁ。

王道の9.7インチがオススメ

日常的に持ち歩くということを前提にすると、王道かつ定番の9.7インチサイズがiPadとしてベストだと思います。

仕事で使うには、12.9インチの大画面はありがたいと感じる場面も多いのですが、普段から持ち歩くかというと疑問です。というか、出張に12.9インチのiPad Proを持っていくなら、いっその事MacBookにするかな。

そう、12.9インチ版は職場に置いといてこそで使うのには便利なのですが、日常的に持ち歩いて使うという性格のものではないと思うんです。

9.7インチの場合は、大きさも軽さもiPad Airと同等なので、普段から持ち歩いて使うのにも便利です。しかも、大きな12.9インチ版と同じ処理性能ですので、パワフルに働いてくれます。

やはりiPad Proは、性能とサイズと便利さが見事にバランスしている9.7インチがオススメですね。僕は歴代iPadの中で最高に気に入っています。

【追記】

半年以上使い続けても、この記事を書いた当時と印象が変わりません。圧倒的な便利さと満足感。ただ、ストレージはもっと容量が大きいものにしておいた方がよかったかなぁと思っていますが。時々「ストレージの容量が足りません」って表示が出るようになったんですよ。